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辻整形外科クリニック   PAINFUL LESION

TSUJI ORTHOPAEDIC INSTITUTE


大 腿 骨 頭 壊 死 ( A V N )

左は帯状硬化像を認めるステロイド性大腿骨頭壊死の写真で、右は帯状硬化像と骨頭の圧潰を認めるアルコール性大腿骨頭壊死の写真です。

大腿骨頭壊死症(AVN=avascular necrosis、特発性大腿骨頭壊死症)は大腿骨頭内の阻血性(そけつせい)もしくは鬱血性(うっけつせい)の血流障害により骨頭内の骨細胞組織が壊死(えし=細胞の死)に陥り、骨頭内の骨組織の破壊から骨頭の荷重部の軟骨面の陥落性の破壊へと進行し、最終的には骨頭の圧潰(collapse)が起こったり軟骨面の剥落が起こったりしうる疾患である。(ただし、鬱血性血流障害については成書にはあまり記載されていないし、研究論文も少ない。) 原因としては、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病やアレルギー性疾患・腎疾患などに対するステロイド剤(プレドニゾロンに換算して1日30mg程度以上)の長期内服や、パルス療法による短期大量のステロイド剤投与などのステロイド性ものが約半数と最も多い。次いでアルコールの長期多飲(日本酒に換算して1日3合程度以上で15年以上の飲酒歴)によるものが約30%と多く、股関節脱臼などの外傷後にも発症が認められ、全く原因不明の狭義の特発性のものもある。20歳代から50歳代の男女に発症するが、ステロイド性のものは30歳代の女性に多く、アルコール性のものは40歳代の男性に多い。片側性の場合もあるが、約60〜70%で両側性である。一般的に骨頭荷重部の前内方に発生することが多く、その後、骨頭全体に波及してくると考えられるが、ステロイド性のものでは骨頭全体が瀰漫性(びまんせい)に壊死になる場合も多い。




大腿骨頭壊死の圧潰した骨頭

上の右側のレントゲン写真の圧潰した大腿骨頭の実際の写真です。